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ホテルのハウスワイン

 ホテルのハウスワイン

画像は公式からの引用です



ホテルの「ハウスワイン(グラスワインの定番として常に用意されているワイン)」は、そのホテルの顔であり、レストランやBarのクオリティを測るバロメーターとも言われます。

前半ではホテルがどのような基準でハウスワインを選定しているのか、後半ではこだわりの「オリジナル・ハウスワイン」を持つ代表的なホテルグループについてご紹介します。

一、ホテルのハウスワインの選定基準

ホテルがハウスワイン(特にグラスで気軽に提供するもの)を選ぶ際、ソムリエや料飲部門は主に以下の4つの基準を持っています。

  1. 万人受けする「中庸(ちゅうよう)」な味わい

    特定の個性が強すぎるもの(強烈な渋み、高すぎる酸味、独特の獣香など)は避けられます。赤であれば渋みが強すぎずしなやか、白であればすっきりとしてフルーティーな、「誰が飲んでも美味しい」と感じるバランスの良さが最優先されます。

  2. 幅広い料理に寄り添う「マリアージュの汎用性」

    ハウスワインは、前菜からメイン、あるいは和食・洋食を問わず注文される可能性があります。そのため、料理の邪魔をせず、かつ引き立てる「懐の深さ」が求められます。

  3. 開栓後の「耐久性(タフさ)」

    グラスワインとして提供する場合、ボトルを開けてから数時間が経過しても急激に味が落ちない(酸化に強い)安定したクオリティのワインが選ばれます。

  4. 優れた「コストパフォーマンス」

    宿泊ゲストが気兼ねなく何杯もおかわりできるよう、クオリティを高く保ちながらも、価格は手頃に抑えられるドメーヌ(ネゴシアン)のものが厳選されます。

二、オリジナルのハウスワインを持つホテルグループ

近年では、単に既存のワインを仕入れるだけでなく、「自社の料理やホテルの世界観に完璧にマッチするワイン」を国内外のワイナリーと共同開発し、独自のラベル(エチケット)で提供するホテルグループが増えています。

1. ザ・テラスホテルズ(沖縄)

沖縄を代表するラグジュアリーホテル「ザ・ブセナテラス」などを展開するグループです。彼らは南国のリゾート空間や、沖縄の食材を使ったディナーに合う独自のハウスワインを、南米チリの気鋭のワイナリーなどと共同開発しています。

  • 特徴: 白はソーヴィニヨン・ブラン100%で、パッションフルーツやパイナップルのようなトロピカルな香りが沖縄の気候にベストマッチ。赤はマルベックとシラーをブレンドし、フレッシュでありながら艶やかな果実味が特徴。すべての系列ホテルのレストランで一貫したクオリティで楽しめます。

2. 星野リゾート(リゾナーレ、トマムなど)

日本各地で地域の魅力を発信する星野リゾートでは、特に「ワインリゾート」を掲げるリゾナーレ八ヶ岳や、北海道のトマムなどで独自のワイン戦略をとっています。

  • 特徴: 厳密には大量生産のハウスワインとは異なりますが、山梨・長野、あるいは北海道の地元ブティックワイナリーと深く提携しています。例えばリゾナーレ八ヶ岳では、入手困難なカルトワイナリー「ドメーヌ ミエ・イケノ」が、特定の客室やレストランのためだけに特別にハーフボトル等を詰め、実質的な最上級ハウスワインとして提供されるなど、地域のテロワールを表現する基準で選ばれています。

3. ホテル川久(和歌山・白浜 / カラカミ観光グループ)

中世の城郭のような建築と圧倒的なワインセラー(旧川久コレクション)で知られるラグジュアリーホテルです。

  • 特徴: ここのソムリエが南紀白浜の紀州食材や宮廷料理に合わせるため、フランスの銘醸地コート・デュ・ローヌのオーガニック(ビオディナミ)の生産者と直契約し、独自の『ホテル川久 プライベート・ハウスワイン』を毎年リリースしています。優しく自然な旨味の赤・白・ロゼが用意されており、まさに宿のこだわりを凝縮した一本です。

4. ザ・ウィンザーホテル洞爺(北海道)

世界のVIPを迎えてきた洞爺湖の頂に立つ最高級リゾートホテルです。

  • 特徴: フレンチをはじめとする超一流のダイニングに合わせ、独自の審美眼でセレクト・ボトリングされた「ウィンザーオリジナル」のハウスワイン(赤・白)を常備しています。フレッシュな白と、心地よいタンニンが続くエレガントな赤は、ホテルの格式高い雰囲気を体現しています。

ホテルのハウスワインは、そのホテルが「ゲストにどのような食事の時間を過ごしてほしいか」というメッセージそのものです。もしホテルを訪れた際、メニューにオリジナルのハウスワインを見かけたら、ぜひそのホテルの「アイデンティティ」を味わうつもりで頼んでみてください。


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