踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望
『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』は、2012年9月7日に公開された、フジテレビの人気ドラマシリーズ「踊る大捜査線」の劇場版完結編です。
概要
この作品は、1997年のテレビドラマから始まった「踊る大捜査線」シリーズの約15年にわたる物語に終止符を打つ作品として製作されました。お台場を舞台に、警察組織の矛盾や事件の真実に挑む刑事たちの姿が描かれています。
ストーリー
物語は、湾岸署管内で発生した殺人事件から始まります。被害者は、国際環境エネルギー会議の開催を控えた警視庁内で起きた殺人事件の参考人として聴取を受けていた元警視庁刑事局の要人でした。この事件を捜査する中で、所轄の刑事である青島俊作（織田裕二）は、上層部の思惑や警察組織内部の深い闇に直面していきます。
殺人事件の捜査が進む中、青島はかつての恩師であり、元湾岸署刑事課強行犯係係長だった室井慎次（柳葉敏郎）が関与している可能性のある不可解な動きに気づきます。さらに、同じくかつての仲間である真下正義（ユースケ・サンタマリア）の息子が誘拐される事件も発生し、物語は複雑に絡み合っていきます。
警察庁と警視庁の対立、所轄と本庁の溝、そして捜査を妨害するような上層部の圧力といったシリーズを通して描かれてきたテーマが、これまでにないほど強く描かれ、青島が最後にたどり着く「新たな希望」とは何か、が問われます。
主な登場人物とキャスト
- 青島俊作: 織田裕二
湾岸署刑事課強行犯係係長。正義感が強く、事件解決のためなら上層部にも臆せず立ち向かう主人公。
- 室井慎次: 柳葉敏郎
警察庁長官官房審議官。青島とは立場を超えて信頼し合う関係だが、警察組織の中で葛藤を抱える。
- 恩田すみれ: 深津絵里
湾岸署刑事課強行犯係。青島を公私にわたって支える。
- 真下正義: ユースケ・サンタマリア
湾岸署署長。シリーズ初期は青島の後輩だったが、出世して所轄のトップに。
- 和久伸次郎: 伊藤淳史
湾岸署刑事課強行犯係。和久平八郎（いかりや長介）の甥で、青島たちの後輩。
- 小池茂: 小泉孝太郎
警察庁官僚。室井の部下。
- 袴田健吾: 織本順吉
湾岸署の古株。
- 緒方薫: 甲本雅裕
湾岸署のベテラン刑事。
- 森下孝治: 遠山俊也
湾岸署のベテラン刑事。
- 湾岸署の面々: 篠原夏実（内田有紀）、木島丈一郎（寺島進）、日向真奈美（小泉今日子）など、シリーズを彩ってきたキャラクターたちが再登場し、物語に深みを与えます。
特徴
- シリーズの集大成: これまでのシリーズで培われた人間関係やテーマが凝縮されており、ファンにとっては感慨深い内容となっています。
- 警察組織の闇: 警察内部の権力争いや腐敗、隠蔽体質といったテーマがこれまで以上に深く掘り下げられています。
- スケールの大きさ: 国際的な会議を背景に、誘拐事件や殺人事件が連鎖的に発生し、物語はこれまでの劇場版の中でも特に大規模なスケールで展開します。
この作品は、日本の刑事ドラマの金字塔として長く愛されてきた「踊る大捜査線」シリーズの最終章として、多くのファンに惜しまれつつも、その有終の美を飾りました。
踊る大捜査線シリーズ
「踊る大捜査線」は、フジテレビ系列で放送された日本の刑事ドラマシリーズで、1997年の連続ドラマから始まり、スペシャルドラマ、映画、スピンオフ作品など、多岐にわたるメディアで展開されました。そのリアリティとユーモア、そして警察組織の光と影を描いた斬新な視点から、社会現象を巻き起こすほどの大ヒットとなりました。
概要と特徴
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舞台設定とリアリティ:
- 物語の主な舞台は、東京臨海副都心にある架空の警察署「湾岸署」です。
- 従来の刑事ドラマのような「超人的なヒーロー」ではなく、組織の制約や矛盾の中で葛藤しながら事件を解決しようとする、等身大の警察官たちの姿が描かれています。
- 所轄の刑事とキャリア組（本庁の警察官僚）の対立、縦割り行政、予算不足など、警察組織が抱える現実的な問題がリアルに描かれ、多くの共感を呼びました。
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ユニークなキャラクター:
- 主人公の青島俊作（織田裕二）は、元は営業マンだった異色の経歴を持つ刑事で、熱血漢で人情に厚く、常に現場を重視します。
- クールで合理的なキャリア組の室井慎次（柳葉敏郎）との関係は、シリーズを通しての大きな見どころです。立場は異なるものの、お互いを認め合い、信頼し合う関係性が描かれます。
- 口数の少ないが芯の強い恩田すみれ（深津絵里）、どこか憎めない真下正義（ユースケ・サンタマリア）、そして多くの個性豊かな署員たちが登場し、それぞれの人間ドラマを織りなします。
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ユーモアとシリアスの融合:
- 事件の真相に迫るシリアスな展開と、刑事たちの日常で起こるコミカルなやり取りが絶妙なバランスで融合しています。
- 登場人物たちの独特のセリフ回しや、警察組織の不条理を皮肉る描写は、多くの名言や流行語を生み出しました。
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社会現象化:
- 「湾岸署」を舞台にした物語は、お台場という当時開発が進む地域とも相まって、新しい警察ドラマの形を提示しました。
- 映画版は日本の実写映画の興行収入記録を次々と塗り替え、特に『踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ！』は、日本映画の歴代興行収入1位（当時）を記録する大ヒットとなりました。
シリーズの主な作品
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連続ドラマ：
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スペシャルドラマ：
- 『踊る大捜査線 歳末特別警戒スペシャル』（1997年12月）
- 『踊る大捜査線 番外編 湾岸署婦警物語 初夏の交通安全スペシャル』（1998年6月）
- 『踊る大捜査線 秋の犯罪撲滅スペシャル』（1998年10月）
- 『踊る大捜査線 THE LAST TV サラリーマン刑事と最後の難事件』（2012年9月）
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劇場版（映画）：
- 『踊る大捜査線 THE MOVIE』（1998年）
- 『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ！』（2003年）
- 『踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ！』（2010年）
- 『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』（2012年） - シリーズ完結編
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スピンオフ作品：
- 『交渉人 真下正義』（2005年） - 真下正義が主人公の映画
- 『容疑者 室井慎次』（2005年） - 室井慎次が主人公の映画
影響と評価
「踊る大捜査線」は、その斬新な視点と、刑事ドラマというジャンルに新たな風を吹き込んだ点で、日本のテレビドラマ史において非常に大きな影響を与えました。単なる事件解決の物語に留まらず、組織論や人間関係の深掘り、社会の矛盾を問いかけるテーマ性など、多角的な魅力を持ち、今もなお多くのファンに語り継がれる傑作シリーズです。
