榮太樓總本鋪（えいたろうそうほんぽ）は、江戸時代後期に創業した、東京・日本橋に本店を構える老舗の和菓子店です。2025年現在で創業200年を超える長い歴史を持ち、伝統的な製法を守りながらも、時代に合わせた新しいお菓子づくりにも挑戦し続けています。
歴史
- 創業: 文政元年（1818年）、細田徳兵衛が埼玉県の飯能で菓子業を始め、その後江戸へ出て九段坂に「井筒屋」の屋号で店を構えたのが始まりとされています。
- 日本橋への進出: 曾孫にあたる3代目細田安兵衛（幼名：栄太郎）が安政4年（1857年）に現在の日本橋の地に独立店舗を構え、自身の幼名から「榮太樓」と改称しました。当時、魚河岸で働く人々や軽子（運び手）に親しまれ、その気前の良さや人柄から「栄太郎の店」「えいちゃんの店」と呼ばれ評判となりました。
- 代表菓子の誕生: 創業者の栄太郎が生み出した「金鍔（きんつば）」「梅ぼ志飴」「甘名納糖」「玉だれ」などは、現在も当時の製法と変わらず受け継がれ、愛され続けています。
- 東京の顔として: 明治・大正期には、東京随一の繁盛店として「東京繁盛菓子屋番付」に度々掲載されるほどになりました。関東大震災や東京大空襲で店舗が焼失するなどの苦難も乗り越え、戦後も復興を果たし、現在のデパートの食品売り場のルーツともいえる「東急東横のれん街」の設立にも尽力するなど、日本の菓子業界を牽引してきました。
主な特徴とブランド
榮太樓總本鋪は、伝統を重んじる「榮太樓」ブランドの他に、時代に合わせた様々なブランドを展開しています。
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榮太樓:
- 梅ぼ志飴: 創業以来変わらぬ製法で作られる、梅干しに似た三角形の形が特徴の飴。梅干し味ではなく、べっ甲飴のような素朴な甘さが魅力です。
- 名代金鍔（なだいきんつば）: 厳選された北海道十勝産のエリモ小豆を使用したつぶし餡を、ごま油をきかせた薄皮で包み、丸い金型で焼き上げた逸品。しっとりとした食感と上品な甘さが特徴です。
- ひとくち煉羊羹: 小豆、小倉、黒糖、抹茶など、様々なフレーバーが楽しめる一口サイズの羊羹。
- あんみつ: 榮太樓の代表的な甘味で、北海道産の小豆を使った餡と、食感の良い寒天、7種類のフルーツが特徴です。
- 日本橋どらやき: ふっくらしっとりの生地に、こだわりのつぶし餡を挟んだ人気商品。
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あめやえいたろう:
- 2007年に誕生した、伝統の飴を現代風にアレンジしたブランド。コスメや宝石のようなおしゃれな見た目の飴が特徴です。
- 板あめ 羽一衣（はねひとえ）: 天女の羽衣をイメージしたサクサクとした軽い食感の板状の飴。
- みつあめ スイートリップ: グロスのような容器に入った液体状の飴で、パンやヨーグルトにも合います。
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にほんばしえいたろう:
- 金鍔や玉だれなど、江戸の和菓子文化を伝える伝統的な生菓子や、贈答品に最適な菓子を提供しています。
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からだにえいたろう:
- 健康志向のニーズに応えるブランドで、例えばアミノ酸を配合した羊羹などがあります。
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東京ピーセン:
- かつて人気だった揚げあられ「ピーセン」を、東京土産として展開しているブランド。ピーナッツ、海老うまくち、黒胡椒、チーズなど様々な味があります。
店舗
本店は東京・日本橋にあり、喫茶室も併設されています。この他、日本橋髙島屋、日本橋三越本店、京王百貨店新宿店、玉川髙島屋S・C店、羽田空港など、主に百貨店や駅、空港を中心に店舗を展開しています。オンラインストアでの購入も可能です。
榮太樓總本鋪は、200年以上の歴史に裏打ちされた確かな技術と、革新的なアイデアで、日本の和菓子文化を現代に伝え続ける老舗です。贈答品としても人気が高く、東京土産としても喜ばれる逸品が揃っています。
深川めしは、東京都江東区深川地域の郷土料理で、アサリをメインにしたご飯料理です。そのルーツは江戸時代にまで遡り、東京湾で漁をしていた漁師たちの手軽なまかない飯でした。
深川めしの歴史とルーツ
深川地域は、江戸時代には「深川浦」と呼ばれ、アサリやハマグリ、アオヤギなどが豊富に獲れる漁場でした。忙しい漁の合間に、漁師たちが船の上で手早く食べられるように考案されたのが深川めしの始まりとされています。
当初は、アサリ（またはアオヤギ）、長ネギ、豆腐などを真水で薄めた海水で煮込み、その汁ごと冷たいご飯に「ぶっかけ」て食べるスタイルでした。その後、屋台や一膳飯屋が味噌や醤油で味付けしたものを出すようになり、漁師だけでなく一般庶民にも広まっていきました。
また、別の説では、大工などの職人が弁当として持ち運べるようにと、アサリとご飯を一緒に炊き込む「炊き込みご飯」のスタイルも考案されたと言われています。
深川めしの主な種類と特徴
深川めしには、大きく分けて二つのスタイルがあります。
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ぶっかけ（深川丼）:
- 特徴: 砂抜きしたアサリのむき身とざっくり切った長ネギ、油揚げなどを、味噌ベースの出汁（または醤油ベースの出汁）で煮込み、その汁ごと熱々のご飯の上にかけたものです。
- 味わい: アサリの旨みが溶け出した汁がご飯に染み込み、サラサラと食べられるのが特徴です。江戸時代のファストフードとも言える手軽さと、栄養価の高さが魅力です。
- 作り方: 鍋にあさりと出汁を入れて煮込み、口が開いたらむき身にし、ネギなどを加えて味噌を溶かし、ご飯にかけるだけのシンプルなレシピです。
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炊き込み（深川飯）:
- 特徴: アサリのむき身や長ネギ、油揚げなどを、醤油やみりんで味付けした出汁と一緒にご飯と炊き込んだものです。
- 味わい: ご飯全体にアサリの風味と出汁の味がしっかりと染み込んでおり、お弁当やおにぎりにも適しています。
- 作り方: 米を研ぎ、砂抜きしたアサリのむき身、刻んだ野菜（人参、油揚げなど）、調味料（醤油、酒など）、そしてアサリの煮汁などを炊飯器に入れ、通常通り炊飯します。
現在、お店で提供されている深川めしは、炊き込みご飯のタイプが多い傾向にあります。
どこで食べられる？
深川めしは、その発祥の地である東京都江東区の清澄白河駅や門前仲町駅周辺で、専門店や和食店、居酒屋などで味わうことができます。
- 代表的なお店の例:
- 深川宿: ぶっかけタイプと炊き込みタイプの両方を提供しているお店で、深川江戸資料館の近くにあります。富岡八幡宮の境内にも店舗があります。
- 割烹 みや古: 大正時代創業の老舗で、深川産のアサリを使った独自の深川めしが楽しめます。
- 深川 釜匠: こちらも2種類の深川めしを提供しており、深川江戸資料館のそばにあります。
また、東京駅の駅弁としても「深川めし」が販売されており、手軽に楽しむことができます。
深川めしは、アサリの旨みが凝縮された、素朴ながらも奥深い味わいの郷土料理です。東京の下町情緒を感じながら、その歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
